2014年11月15日~24日の10日間で、新婚旅行に行ってきました。
この旅行では、デンマークの私がかつて住んでいたところへ、お世話になった人々に結婚報告と夫の紹介をかねて会いに行きました。
デンマークでは、私の知人友人に会いまくる日々で、私は久々に皆に会えてうれしくてしかたなかったですが、夫を疲れさせてしまったかなと思いました。しかし夫は、私の歩んできた軌跡を知ることができてよかったと言ってくれてうれしかったです。また、私にとっては懐かしい、北ユトランドののんびり(時々荒れ狂っていますが)した自然の風景や、クリスマスのシーズンのチボリ公園等コペンハーゲンの名所を、夫に紹介し、一緒に歩くことができたこともよかったです。
旅の日程
<デンマーク編・前編>
11月19日 Tolneへ友人訪問後、Skagenへ。ほぼ暴風の中、デンマーク最北端の地に無理やり夫と立つ
11月20日 母校オールボー大学訪問、夜はHirtshalsの友人宅訪問
11月21日 午前中はSindalでのんびりすごす、昼からオールボーへ移動、夜にオールボー在住の友人たちと食事、オールボー空港からコペンハーゲンへ移動
11月22日 コペンハーゲン観光、夜は友人宅訪問
11月23日 午前中にコペンハーゲン観光、夕方、日本行きの便に搭乗
11月24日 日本帰国
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11月19日
Sindal駅。
今も私が住んでいた当時と同じ、風の抵抗満載なぺヤング焼きそばみたいな顔の列車が走っています。デンマークは平地ばかりで風が強く吹く国だというのに、なぜ列車の顔がぺヤング形状なのかは、私の中でずっと謎のままです。
ひとつ隣の駅の前にある、"Tolne Gjaestgivergaard"へ。Gjaestgivergaardは、ペンションや民宿のようなものです。もともと古くからTolneの駅前にあった宿だったのですが、私がデンマークに住んでいた当初は長らく経営者がみつからないまま、空き家になっていました。現在は、私の友人である陶芸家夫妻が、陶芸アトリエと兼ねて経営しています。私たち夫婦が訪問したときは、まだ部屋の改装真っ最中でした。
北ユトランドの自然を目いっぱい堪能するのであれば、やはり夏がベストシーズンで、11月はひょっとしたらワーストシーズンかもしれませんが、私は11月の静かな森を、ざっくばらんに話をしながら歩くのも好きです。経営者のGさんは、Tolneの森へ夫と私を案内しながら、なぜ陶芸だけでなく宿の経営を始めたのか、経営が軌道に乗らなくなりそうで眠れなかった日々のことなど、いろいろと話をしてくれました。次回訪問時は、ぜひ完成した宿のお部屋にも泊まってみたいと思いました。
さて、元私のホストママのLさんが車で迎えに来てくれて、私たち夫婦はデンマーク最北端の地Skagenへ向かいました。最北端のグレーネン岬の入り口で、Lさん特製ホットチョコレートを飲んで身体を温めた後、Lさんに「さあここからは二人きりのラブツアーに行ってきなさい。」と促され、2人で延々と暴風吹きすさぶ砂浜を30分ほど歩きました。風が強くて向かい風、いつまでたっても先端にいけず、体感温度は下がる一方。たぶん、Lさんは私たちを二人きりにしたかったのではなく、単にここまでついて行きたくなかったのです(笑)。
やっと最北端に到着。かつて、はじめてSkagenを訪れたとき、日本から友人がきたとき、自分にとって重大なことを決めるとき、何度も私はここに立ちました。しかしこれほど過酷な天候の日に立ったのは初めてでした。夫も私も手がかじかんで震えてどうしようもない。ラブツアーで愛は深まったのかは謎です。とりあえず、哲学を学ぶならキルケゴール(デンマークの偉大な哲学家) のことを知るよりも、11月のクソ寒い日にここに立ったほうがよほど何かが拓けそうだということは身にしみて分かりました。
帰るぞ~。帰りは追い風なので、ちょっとはマシ。Lさんのホットチョコレート2杯目が身体に染みました。
すっかり日が暮れて真っ暗になってしまったSkagenの町中で、"Galleri Bo Skagen"というギャラリーショップに立ち寄り、りんごの壁掛けを買いました。
夜は元私のホストパパFさんのお手製フレスケスタイ(Flaeskesteg:デンマーク風ローストポーク)。これぞデンマーク料理!を作ってくださいました。夫は初めて食べました。
夜。FさんLさんとお酒を飲みながら、話に花を咲かせました。私がこの家に初めてやって来たときのこと、たくさん飲んだベルギービールのこと・・・初めてやってきたのは2006年。8年も前なのに、昨日のことのようです。
そして、出てきた謎のお酒「裸島」。なんだそのネーミングは。FさんLさんは、これを私たち夫婦と飲むために、わざわざとっておいてくれたそうです。Fさんいわく、毎年行っているコペンハーゲンの地ビールフェスタで、ノルウェーのNøgne øブルワリーが出店していて、まだ試験製作品だったこの日本酒を紹介され、Fさんは特別に頼み込んで1本売ってもらったのだそうです。ちなみに、"Nøgne ø"を直訳すると、Nøgne=裸の、 ø=島。だから「裸島」なんですね(笑)。
ラベルを見ると、山田錦を使って、確かに純米吟醸を作る製法で忠実に作っている模様。しかしです。試飲したら残念ながらパック酒以下の味、飲みつづけたら確実に悪酔いする味でした。私はこの味について、忌憚なき正直な感想をFさんLさんに伝えました。そして、こうも付け加えました。「日本の山崎ウイスキー(山崎はデンマークでも人気)だって、もともとはスコットランドの真似から始めてウイスキーをつくったはず。たぶん最初のウイスキーはとても美味しくなかっただろう。それが何十年もかけて、世界中で評価されるようになった。だから、裸島も何十年もかけて、ノルウェーの美味しい日本酒第一号になってほしい。」
Fさんは、「それはNøgne øの人にも伝えないとね。」と言いました。
11月20日
私の母校である、オールボー大学へ行ってきました。
なつかしのキャンパス。授業にグループワークに研究に論文、こなすだけでも大変だった日々を思い出しました。日本語でなら取るに足らない簡単な小さなことでも、一つ一つこなしていくことが、自身の達成感につながっていました。
そして、このキャンパスは移転するため、現在は引越し作業の真っ最中でした。玄関がもうすでに閉鎖されて開かないので中に入れませんでした(笑)。
こういうことはデンマークではよくあることなので、庭をつっきって裏口へ勝手に移動。裏口は開きました。よかったよかった。無事に、在学中にお世話になったラボのHさんとSさんに会えました。
Hさんに、新キャンパスに連れて行ってもらいました。
お世話になったP教授にも会えました。
こんな最新設備で実験できるなんて、これからの学生さんがうらやましい。
オールボー大学の特色はグループワーキング(授業の毎度の課題や、セメスターごとの研究レポートを、個人ではなくグループで完成させる)なので、グループワーク用の施設も充実していました。私のときなんて小さな小部屋にいすと机しかなかったんですけどね。本当にうらやましい限り。
P教授とHさんと、新キャンパスの休憩コーナーでコーヒーを飲みつつリンゴや洋ナシをかじりながら(デンマークの大学のブレイクタイムによくある光景)、私の近況や夫のことを話しました。
アカデミックの世界に後ろ髪をひかれつつ、再びSindalへ列車で戻りました。
夜はFさんのお母さんであるKさんのお宅を訪問。訪問前に隣町のTvarstedにある"Cafe' fisk"にて、魚のディナープレートを購入。デンマークの魚屋さんは、日本の魚屋と比較すると、生臭かったり鮮度管理に疑問を抱いてしまうような店もあったりするのですが、この店は私が知るデンマークの魚屋の中でも鮮度管理が徹底していて、しかも作る料理が本当に美味しいのです。しかもメニューへの探究心もあります。訪問当時、店主はすり身でカマボコを試作中とのことで、試食をいただきました。
プレートを車のトランクに積んで、いざ、HirtshalsのKさん宅へ。
Kさんはハグで私たち夫婦を迎えてくださいました。
KさんはFさんのお母さんということで、私がFさんLさんの家でホームステイをしていたときに知り合いました。KさんはHirtshalsの老人用のアパートに独りで住んでいるのですが、私がデンマーク語を覚えるにつれ、次第にKさんの家に私だけで遊びに行って話し相手をするようになりました。Kさんは昔のこと(戦時中ナチスドイツのレジスタンス組織の人が家に逃げ込んできてかくまった話等・・・)、お孫さん達の話、アパートの窓から見える船の話など、私にいろいろなことを話して聞かせてくれました。駅前の生協のカフェテリアに二人でランチをしに行ったとき、カフェテリアのおばちゃんに、私のことを、「初めてできた日本人の友達なのよ!」と言って紹介してくれたときは、なんだかうれしかったことを思い出しました。
この日も、ディナーの後は窓から見えるノルウェー行きのフェリーを眺めつつ、話に花を咲かせました。
Sindal最後の夜は、FさんLさんとベルギービールでゆっくり乾杯して過ごしました。写真はFさんのワインセラーならぬビールセラー。相変わらず充実のラインナップでした。
11月21日
かつて、何度も何度も犬の散歩に訪れた原っぱ。犬の鎖を解いて、自由に走らせて、それを眺めているのが好きでした。
ブランチを食べて、パッキングをしたら、Lさんとはお別れでした。再開を約束して、Sindalの町を後にしました。
Fさんの運転でオールボー空港へ。コペンハーゲンへ移動するのは夜だったので、チェックインだけして、オールボーの市街地へ向かいました。ここで、Fさんともお別れ。FさんLさんには本当にお世話になりました。
午後は、オールボーの市街地を夫に案内したあと、オールボー在住の日本人の友人と会い、ディナーをしながら話に花を咲かせました。夫も話がワールドワイドで新鮮だったと言っていました。こういうところでまったく人見知りも物怖じもせず、ありのまま淡々と楽しんでしまえるところが、夫のすごいところだなと思いました。
短いながらもたくさんの人に再会できた北ユトランドの3日間。あっという間でした。そしてなにより、皆さん自分の時間を割いて気前よく会ってくれたことがありがたかったです。
コペンハーゲンのホテルには夜22時ごろ到着しました。
後編に続きます。
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