2011年5月14日土曜日

職場から家まで歩いて帰ってみました

先週土曜日、災害で公共交通機関があてにならなくなったとき、職場から自宅まで本当に歩いて帰れるのかどうか試してみました。

まず事前準備として、GoogleMapsで職場と家の位置を確認しました。約20km。2-3通りのルートがありましたが、とりあえず物理的に最短のルートを選定。

続いて、もって行くものの準備。普段、会社に持っていっている荷物を、そっくりそのままこの低容量バックパックに移しかえました。これに、ペットボトルの水500mL、カメラ、コンパス、地図を加えて、荷物の総重量は3.2kgになりました。



服装は仕事をしているときのもの。
iPod nanoに万歩計機能がついているので装着。


靴は自分のトレッキングシューズに履き替えました。仕事着にトレッキングはかなり不釣合いなのですが、気にしません。このトレッキングは、今後職場に置いておくつもりでいるものです。ただ、トレッキングは山の斜面で歩きやすく設計してある靴であり、コンクリの道を長々と歩くのに適しているのかどうかは不安でした。それでも、実際に歩く際は地面は瓦礫だらけでしょうから、とりあえずサンダル、ヒール靴、ヒールが無くても足の甲が出ている靴は除外。そうすると私の手持ち靴の中ではトレッキングが妥当でした。


行きは公共交通機関で行き、スタバでまったりしてから、12:45出発。最初は国道153号線(飯田街道)をずっとまっすぐ歩いていくだけなので、道にも迷わず楽勝。歩きながら、公衆電話の場所、コンビニの場所、ドラッグストア、ショッピングモール、倒壊しそうに見える建物、広域避難場所等をチェックしました。


この日は中途半端に暑かったです。帽子を用意してこなかったので熱中症が心配になりました。わらびもち~。


吹上に到着。ふきあげ。気になる地名です。過去にこの辺で何か吹き上がったのか・・・?


吹上を過ぎたあたりから、道の両脇がいっきに下町っぽくなります。わき道はこんな感じ。


と思いきや、八事まで来ると、また都会っぽくなります。このへんは緑が多くていいですね。



そろそろ省エネでここの名物ガニも止まってしまうのでしょうか・・・?


八事で、153号線からはずれて、南東に進路変更しました。ここからが問題でした。今までのようにずっと国道沿いを歩けばいいわけではなくなったので、道に迷いまくりました。そんなときはコンパスが役に立ちです。とにかく、南東に向かうように歩けば、どの道を通ろうが関係ないわけです。実際にこうして歩かざるをえなくなるのは震災時で、あてにしていた道は火事や建物倒壊、交通渋滞で通れない、という場合もあるわけです。そうして代替ルートを通って、うまいカレーなどを見つけることは多々あるでしょう。


なぜか閑静な高級住宅街に迷い込みました。ウィキペディアによると、八事はもともと山です。お金持ちは高台に住む、というのは本当ですね。
八事(ウィキペディアより抜粋)
地名の由来は「岩(や)が凝(こご)る」、つまり地盤が固いことを示したものが変化したものと云われ、ごつごつとした岩の多い山であった。中世に旧:飯田街道沿いに開かれた八事山興正寺周辺が門前町として形成され八事山の代名詞となった。


八事の山をおりて南東方向へ進むと、川にさしかかります。ということは、地震でここの橋が壊れていたらもうその先に進めません。ここの河川敷は広域避難場所です。津波による増水と火事が迫ってなければ、ここに人は集まってくるでしょうから、帰宅難民でも気分的には安心できるかもしれません。


ほら貝交差点。前から気になっていた地名、ほら貝。ここまで来て、おおよそ行程の半分です。まだいちおう名古屋市内です。ただこのあたりまで来てしまうと、名古屋の真ん中に比べたら公共交通機関が乏しく、ほとんど車社会です。コンビニやスーパー、食べ物屋の間隔が、やたらあくようになってきます。このあたりは、普段は自宅から車で行くところなので、こうして歩いてみると、街のつくりが、徒歩ではなく車移動に便利な仕様になっているのがよくわかります。なので、休憩する場所や、水を手に入れられそうなところををひとつ見送ると、次の同じようなところがなかなか見つからず、そのまま疲れてしまいがちです。


ほら貝から先はまた道に迷ってしまい、コンパスで南東の方角を維持しながら適当に進むしかなくなりました。そうしてやっと、知っている道に入りました。おかげで最近できたばっかりのショッピングモールをいつの間にか通り過ぎ、休憩し損ねてしまい、意気消沈・・・。

名古屋市から隣の市に入る道。ここでいちばん心が折れかけました。店なし・歩く人なし・夜だったら明かりもなし・万が一尿意をもよおしたら、道の脇で車が通るのを横目に堂々としなければならない(笑。さすがにそれはできないです)。いくら最短ルートとはいえ、この道を通るのは間違いだったなと後悔。水もチョコも尽き、足も痛くなってきました。手足の末端に水がたまってむくんできているのか、指の関節が痛みました。墓地で休憩しつつ(休憩できるところがそのくらいしかない)、自宅を目指します。


やっと自宅の近所まで来ました・・・。もうこの辺まで来ると、歩くというよりも足を前に出すという行為に集中。


どうでもいいですが、黒いのは全部カメです。


自宅に着いたのは18:30。休憩時間も含め、トータルで6時間かかりました。水は1.2リットル消費。歩数32296歩。消費カロリーは1180kcal。成人の歩くの速さは5km/hというので、20kmなら4-5時間あれば歩けるだろうと思いきや、なかなかそうはいきませんでした。災害時はさらに、頭上に注意して、足元に注意して、他の人も車や自転車や徒歩であらゆる方向に移動していて、どこかで火事になっていたりもするわけですから、疲労感はさらに増します・・・。あの日、自宅まで歩いた、関東圏の皆さんを尊敬します。

結論
・私の体力で、20kmを歩くのはあぶなっかしい。会社周辺、名古屋市周辺の広域避難場所をいくつかチェックし、そこで泊りこむことを考えるほうが現実的。

・名古屋市の東側は、八事より外に出てしまうと車メインの地域になるので、徒歩での行動は融通が利きにくい。

・長時間の休憩は、かえって体力も意欲も消耗する。完全に疲れてしまう前に、歩ききってしまうつもりでいたほうがよい。そのほうが水も食料も消費が少なくて済む(=たくさん水や食料を持って、荷物を重たくする必要がない、またはいちいち買える場所を捜し求めなくてよい、トイレの回数も減る)。つまり、今の私は、20kmをただ歩くだけの体力はあっても、サバイバルとして歩くだけの体力にはまだ満たないということ。

・最終手段で歩く場合でも、ルートは最短ルートより、徒歩で歩きやすいルート(線路沿いなど、普段から徒歩で移動する人がいて、街のつくりが徒歩仕様になっているルート)を選んだほうがよさそう。ただし災害の状況でルートはおのずと決まってくるので、あらゆるルートを頭に入れておかないといけない。とくに橋の損壊情報は要チェック。

・コンパスは必ず持って歩く。細かい地図より、県の広域図を頭に叩き込んでおく。道に迷っても、ルートを変更しても、名古屋のいくつかの大きな街のおおよその位置と、そこからのおおよその家の方角が分かっていれば、かならず家にたどり着ける。

・長距離を歩くなら、余計なものは持たないに限る。本当に疲れたとき、手帳1冊がとんでもなく重く感じる。そして、リュックに限る。普段使っている肩掛けのバックで歩いていたら、おそらく腰も痛くなっていた。この時期は熱中症対策で帽子も必要。

・トレッキングは確かに瓦礫の上でも安心して歩いていけると思われるものの、やはりトレッキングは山のために作ってあるので、アスファルトの平坦な道を長時間歩くのはあまり向かない(慣れてないせいもあるかもしれない)。それにこの時期だと暑すぎる。かといって履き慣れたサンダルというわけにもいかず・・・悩み中。

・心が折れると判断力が鈍り、道を間違える。結果、余分に歩いて足が余計に疲れ、さらに心が折れるというスパイラルにはまる。独りで歩くのは、心が折れるという意味では危険。複数人で一緒に歩いたら、心の状態はだいぶ違ったはず。

・疲れてくると歩き方が無意識にふらふらしてくるようで、車に轢かれそうになる。夜はライトや反射材つきのベストをつけて歩かないと危険。

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