2012年7月3日火曜日

崖で愛を叫んだのち参戦するロスキレフェスティバル(Roskilde Festival)2012 4日目

 4日目 2012年7月3日 スタヴァンゲル→オールボー(Aalborg)→シンダイル(Sindal)


ギリギリのお金で過ごしたノルウェー。空港を出る際、所持金は3NOK(45円)になっていました・・・。今日はいよいよ、私が過ごしたデンマークの町へ行く日。そしてやっと、海外出金ができない理由の真相を、銀行に聞きにいける日です。

スタヴァンゲルからデンマークのオールボーへ行くには、いったんコペンハーゲンに戻り、そこから乗り換えていきます。コペンハーゲンに向かう飛行機の上で、こんな面白い光景を偶然見ることができました。写真中央にある、オレンジのかたまり、何だか分かりますか?これは、ロスキレフェスティバル(ROSKILDE FESTIVAL)のテント場です。写真をクリックして拡大すると、テントで「ROSKILDE2012」と書かれているのが見えます。私の乗った飛行機は、偶然にも、フェス会場の上空を飛んでいったのでした。


スタヴァンゲルから1時間ほどで、コペンハーゲンに到着。空港で少し時間があったので、ほしいものの値段をチェック。7月はセールシーズンのため、空港の外でセール品を買うほうが安い場合と、空港の免税店で買ったほうが安い場合があるのです。

さて、いよいよオールボーへ(スタヴァンゲル行きよりは大きい飛行機)。オールボーは、私が通っていた大学のある町です。デンマークでは4番目に大きい都市、といっても人口15万人程度です。日本からの観光で、オールボーに行く方は、知り合いでもいない限り稀でしょうが、オールボーへのフライトは面白いです。オールボーにはリムフィヨルドという、大きな川のようなフィヨルドがあり、着陸時にその真横を並行して飛ぶのです。


13:00、オールボー空港着。友人のAさんが待っていてくれました。Aさんの車で、一気に市街地へ。まずは銀行へ直行。受付のおばちゃんに、「私のVISAカード、日本でもノルウェーでも使えなくなっちゃったんですけど、なぜ?」とまくしたてると、おばちゃんは静かに私のカードをチェックし「カードの使いすぎ。」と静かに答えました。

事情はこういうことでした・・・私のVISAカードは、海外でのカード利用に、ショッピング・現金引き出しを合わせた限度額があり、私は6月に、その限度額を超えて利用した(航空券等々を買ったから)。よって、自動的に海外(デンマーク以外)ではカードが使えなくなった。限度額がリセットされるのは毎月1日だが、7月1日は日曜だったので、7月2日に限度額がリセットされた。

事実を知って愕然。「じゃあ、昨日はもうカードが使えたのね?銀行に出向かないともうカードが使えないと思ってて、ノルウェーで所持金だけのジリ貧旅行をしちゃったよ~!」と笑って言うと、オバちゃんが「あーそれは運が悪かった。今日はもう十分使えるから、そこ(向かいのSallingデパート)でも行っていっぱい買い物しなさい。」と慰めてくれました。赤の他人でも、こういうどうでもいいやりとりが普通にあるのが、デンマークの(オールボーの?)おもしろいところです。

気を取り直して、Aさんとショッピング。まずは靴屋のeccoへ。私が狙っていたサンダルを、セール価格で無事にゲット。eccoは日本にもありますが、オシャレな靴は、なぜか日本では販売対象になっていなかったりするのです。続いてギフトショップのbarnneへ行き、これまた私が狙っていた、menuというブランドのワインストッパーを、定価の半額以下でゲット。運がよすぎます。

そのあと、大学の帰りによく立ち寄ったカフェ、"Cafe´ ministeriet"へ。デンマークの夏のドリンクといえば、これ(写真)。Hyldebromstsaftです。Hyldebromstという白い花、レモン、砂糖を一緒に煮出して?作るシロップを、氷水やソーダで割って飲みます。夏はデンマークの多くのカフェにありますし、一般家庭で手作りしたものは格別です。市販品では、写真の"Søbogaard Hyldebromst"が、私のお気に入りです。


ここで、Aさんから「今日はどうやってシンダイル(Sindal)に行くの?」と聞かれたので、「電車。」と答えると、「電車はないよ。」というスゴい答えが返ってきました。これから私が行くシンダイルという町は、オールボーからさらに50km北にいったところにあり、デンマークでも超!!!!!!!田舎です。電車も1時間に1本しかないので、ほとんどクルマ社会で、鉄道路線は私がかつてシンダイルに住んでいた時から赤字でした。私は「ああ~ついにあの路線も廃止になったのか。」と嘆くと、「ちがうちがう、事故。フィヨルドのとこの橋に、船がぶつかって線路が曲がってしまった。いまその修理をしているから、シンダイルに行くバスがオールボーからでてるけど、途中で乗り換えないといけないし、遅れるから不便だよ。」と言うのです。

ちょうどそのとき、夕食を食べる約束をしていた、MさんSさんがカフェに到着。鉄道事故の話を詳しく聞くことができました。話をまとめると、鉄道でシンダイルへ向かうのはたいへん困難であることが分かりました。以下のグダグダな話は、この地図を見ながらですと、分かりやすいです。

フィンランド船籍の船が、船の高さが橋の高さより高いのに、関係局とのコミュニケーションミス(?)で、リムフィヨルドの航行許可を得てしまった。フィヨルドには車用の橋と鉄道用の橋が架かっている。車用は、はね橋のため船が通過できるが、鉄道用の橋は、はね橋ではないため、ぶつかってしまった。ぶつかったとき、たまたま電車は橋を通過した後で、大事故には至らなかった。オールボーから北に行く鉄道路線は、橋の復旧までずっと運休。代替バスを走らせている。車は、前述のはね橋をわたる一般道ルートと、リムフィヨルドの海底トンネルをくぐる高速道路(無料)ルート、この2通りしかない。にもかかわらず、予定していた海底トンネルの工事が、事故の後に予定通りに始まったため、一部の時間帯は、一般道のはね橋でしかリムフィヨルドを渡れない。つまり、はね橋大渋滞。よって、代替バスは遅れる。ちなみにバスが遅れても、オールボーから先の列車は定刻どおりに発車する。

・・・うーん、北ユトランド(このあたりの地方の呼び名)らしい話?

では、どうしたらいいか?ということで、Aさんがひとつ、提案をしてくれました。
「今晩、オールボーでクラシックコンサートがあって、チケットが1枚余っているから、あなたにあげる。コンサートに行くと、帰りは22時ごろになっちゃうけど、私の車でシンダイルlまで送るから。夜なら、高速道路の工事もしていないし。」この話に、私はふたつ返事でのりました。「そのチケット、私の誕生日プレゼントにして!」

Aさんとはいったんここで別れ、MさんSさんと、最近新しくオールボーにできた、タイ料理屋へ。MさんSさんは、私が大学院生をしていたときに、個人的にお世話になった方々ですが、あいかわらずやり取りが面白くて、話を聞いていて本当に飽きません。私がデンマークを去ってからの、その後のオールボーの様子や、家族の話をたくさんしてくれました。私がいなくなっても、こうして時間を作って会ってくださることが、何より私はうれしかったです。

さて、ふたたびコンサート会場へ。クラシックコンサートなのに、トレッキングシューズによれよれのワンピースにピンクのリュックという不釣合いないでたちで、着飾った人たちの中に入っていきますが、仕方ありません。格好はあまり気にしないデンマークでよかったです。

会場まで歩く途中にあった、こぢんまりしたオールボー駅。ここから何度、電車に乗り、大学と家を往復したことでしょうか。何度、「運休」の表示を見て(1時間に1本の列車が運休=次の列車は1時間後)、がっかりしたことでしょうか。


会場で無事にAさんを見つけ、コンサートへ。今日のコンサートは、オールボーの近くにあるReibildという町の「Reibildデンマーク・アメリカ友好協会」発足100周年記念コンサートでした。アメリカ人であり、デンマークで暮らすAさんにとっては、いろいろ思うところがあるのかもしれません。この協会は、デンマークとアメリカの間に最初にできた友好協会だそうです。HPはこちら(デンマーク語)。コンサートの最初に、会場の全員で、H.C.Andersen(童話作家のアンデルセンのこと)作詞、"I Danmark er jeg født(=デンマークで私は生まれた)"を歌いました。本日の曲目は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界から」。100年前、職を求めてデンマークからアメリカへ移住した人たちにとって、アメリカはまさに「新世界」だったのでしょうか。すごくいいものを聴きました。Aさんありがとう。
(この写真は、演奏が始まる前に、フラッシュなしでこっそり撮っています。)


日が沈んで薄暗くなった高速道路を、Aさんとふたりで「新世界から」をくちずさみながら車をぶっとばし(デンマークの高速道路の法定最高速度は135km/h)、あっというまにシンダイルに到着しました。

0 件のコメント:

コメントを投稿